2018 JCKM/ JKG鍛造ナイフ部会合同ナイフショー レビュー2


前回(レビュー1)の続きです。

 

高本龍雄さん

高本さんは新境地のライナーロックを製作しています。構造的にかなりタイトなロック構造を見事に仕上げていました。このナイフは本人も特にお気に入りの一本でしばらく売るつもりはないんだとか。ナイフメーカーは自分が気に入ったものは売らないという人結構多いですね(苦笑)。

 

林田英樹さん

ナイフだけでなく、彫刻、シルバーアクセサリー制作、絵画、そしてにんにく農家までこなすマルチなクリエイター、林田英樹さん。今回はお客様からのオーダーで彫刻したクレスラーのインテグラルナイフを展示していました。まるで今にも動き出しそうなほど精巧に彫られたクワガタはたくさんの来場客の足を止めていました。

 

伊原賢治さん

シンプルで軽量、スムースなアクションが売りの伊原賢治さん。これまでのシンプルなフォルムはそのままに、ポケットクリップを装着したものやブレードにDamasteelを採用したモデルをリリース。新展開がはじまっていて、これまでの伊原ファンもまた新たに物欲をそそられてしまうのではないでしょうか。

美しく妖しいダマススチールのブレード。

 

間狩純平さん

これまではインテグラルナイフのイメージが強かった間狩さんですが、前回のJKGナイフショーからフォールダーも積極的に製作しています。ニューヨークスペシャルをフリッパーにしたモデルです。ロック部分をハンドル内部に内蔵されたオリジナルの機構です。

 

桜井和幸さん

ライナーロックの名手、桜井さんのフォールダーはとても魅力的です。懇親会でお話をさせてもらった時に驚いたのは、なんとフォールダーを作るときにアウトラインを簡単に決めるだけで、細かな設計図などは全く書かないんだそうです。長年の経験がなせる業だと思いますがこういう天才肌のナイフメーカーもいるんですね。

かわいいペンギンナイフ!

 

宮前敏行さん

設計図を書かないといえばこの方も同じ。ピンの位置などは「うーん、このへん!」と勢いで決めるんだとか(笑)。まさに天才肌です。このチキリつきのロックバックはとても人気があって作っても作っても間に合わないようです。

 
 

道中俊明さん

このインテグラル、なんとハンドル部分はほぼ鑢で製作したんだそうです。手作業とは思えない精度をいとも簡単に出してしまうとは、さすがアメリカのナイフギルド所属は伊達じゃありません。ハンドルはジラフボーン。夕焼けのような温かみのある雰囲気がとても美しい気品ある一本でした。

 
 

鈴木寛さん

テーブルの中央に鎮座したこのド迫力のナイフはさすが熟練のプロメーカーのナイフといった感じ。ダイナミックな星山文隆さんの彫刻と相まって、強いオーラを放っていました。

 
 

渡辺隆之さん

お客様がデザインしたというプロ・スキナーはスタイリッシュでかっこいいデザインでした。ちなみにこのナイフに使われているラグ・マイカルタはさまざまな布をごちゃまぜにして固めたマイカルタ。おそらくすでに市場には出回っていない、いわゆるデッドストックのマイカルタです。独特な色合いの美しい素材なのです。

その3に続きます。


2018 JCKM/ JKG鍛造ナイフ部会合同ナイフショー レビュー1


2018年4月7日~8日にかけてJCKM/JK鍛造ナイフ部会合同ナイフショーが開催されました。多数のナイフメーカーが集まり、素晴らしいカスタムナイフの世界を堪能できる2日間となりました。

久々に写真を撮る時間が取れたのでナイフショーのレビューをしていきたいと思います。例のごとく会場で特に気になったものをご紹介していきます。

 

F工房 渡辺藤夫さん

東京で行われるナイフショーの名物おじさんです。
スタッグやクジラの歯や海松、象牙など、さまざまな天然素材やジャンク品を多数出品しています。見てるだけでも面白いテーブルです。

 

 

堀英也さん

確か去年の銀座ブレードショーでナイフショーにデビューした横浜在住の新人ナイフメーカーです。新人と侮るなかれ、ラブレススタイルのハンティングナイフを丁寧に仕上げる実直な作風でクオリティも高い。一方で、本人はジミー・ライルも大好きで作ってみたいんだとか。今後の展開にひそかに期待しています。

 
 

亀井清昭さん

鍛造部会メンバーも展示していますから、鍛造した作品を楽しめるのもこのショーの一つの魅力。亀井さんは面白いものを作る作家さんです。

かわいいミニミニ鉈とミニミニまさかり。

ナイフブランクも販売していました。ここからハンドルをつけて自分なりに仕上げていくわけです。

 
 

横山哲夫さん

メキシコのクマこと横山哲夫さんは、今回ナイフショーの顔でもあるポスターに選定されました。星山文隆さんのイングレーブが施されたインテグラルナイフ。ナイフメーカーとイングレーバーがお互いの技術を競い合っているかのような迫力あるナイフです。


 
横山哲夫さんはブログもやってます。ナイフの製作工程が事細かに紹介されていて勉強になりますよ!
 
メキシコのクマ

 
 

多松国彦さん

インテグラルといえばやはりこの人。アトランタブレードショーでベスト・ファイターを獲得した多松国彦さんです。独特のセンスで削り出されるインテグラルナイフは繊細かつ可憐。もはや芸術作品ともいえる出来栄えです。こだわりぬいた素材選定、ともすれば華奢になるのではと思うほど攻め抜いた削り。多松国彦さんの確かな技術を証明する美しいナイフたちでした。

 
 

武市広樹さん

Rock Edge Worksの屋号で活動してる武市広樹さんのテーブルはオールドテイストのナイフが多いこのショーの中で明らかに異彩を放っていました。しかし、そこに並んだナイフは決して奇をてらったものではなく、すべてのデザインに自身のハンターやボディーガードなどの幅広い経験に裏打ちされた設計思想が現れています。武市さんのナイフはどれも「質実剛健」ともいえるものばかりです。

 
 

内田啓.さん

内田さんが新たな構造のナイフを模索してたどり着いた一つの答えが「バーティカルフルテーパードタング」でした。
通常のテーパータングはナイフの先端からタングに向かって薄くしていきますが、このバーティカルフルテーパードタングは、ナイフの背中からエッジ方向へ垂直方向に薄くする構造です。内田さんのWebサイトから引用すれば「通常のフルテーパードタングの利点はそのままに活かし軽量で、ベベルストップ(立ち上がり)やリカッソなど応力が集中する形状の急激な変換点が無いため衝撃に強く、剛性に優れ且つ柔軟で弾力性に富むタフなナイフにする事ができる。」とのこと。多少デザインに制約があるものの、それを補う利点も多いようです。

バーティカルフルテーパードタングの詳細な解説は内田さんのWebサイト(以下のリンク)で確認することができます。どうぞご確認ください。
http://kei-uchida-knife.raindrop.jp/20180226-2/

 
 

奈良定守さん

奈良定さんはオーソドックスなラブレススタイルの印象が強いですが、実は名人・加藤清志氏に師事していて、鍛造もこなすマルチなナイフメーカーなのです!細部まで(ほんとのホントに細部の細部まで)キッチリと作られた鍛造ナイフはシンプルながら魅力あふれるものばかりでした。

 
その2に続きます。