お客様からの依頼で、Benchmade Fixed Adamas(ベンチメイド・アダマス)というスケルトンナイフにG-10ハンドルをつけたのでその記録。もとはこんな感じのナイフで、紐を巻いて使っていたとのことだったけど、ちょっと握りにくかったとのことでご依頼をいただいた。

お店に来ていただいて、いろいろとあるハンドル材の中から今回はG-10のオリーブドラブを選んでもらった。

まずは、ハンドルに空いた大きめの穴をボルト穴に合わせる作業。
いつもは真鍮を叩き入れてしまうが、今回は穴がきちんと面取りしてあるので引っ掛かりにくそうなので作戦を変えて、今度発売する新しい接着剤で穴埋めをして穴あけをすることにした。新しい接着剤は1:1で硬化するタイプの金属パテで、かなり硬質になるのでドリルで穴をあけたり磨いてつやを出したりすることもできる。しかも分量がアバウトでいいというスグレモノ。(もうちょっとしたらホームページにアップします)

初めてでちょっと不慣れだったので、だいぶはみ出しているがきちんと埋まった。常温硬化だと数時間ほどかかるので塗って(埋めて)放っておく。一日後、完全硬化したのを確認して6㎜で穴をあける。ばっちり穴あけできた。

続いて、ハンドルをバイスグリップなどでナイフに固定してケガキをいれてカット。そしてボルト穴をあける。ヒルトがつかないタイプのナイフなので、ハンドルの前面を先に仕上げておかなくてはいけない。先にここを仕上げておかないと、あとでいじれなくなってしまうので注意。

ハンドルを接着して外形をとっていく。このときは片側ずつ貼って外形研削するようにする。一気に2枚貼ってしまうと外形がうまく取れなくなってしまうので。片側貼ったら外形を切って、ベルトサンダーやヤスリでブレードとツライチにする。その後、反対側のハンドル材を貼り付けて外形研削といった流れ。

両側のハンドルが無事くっついたらハンドルを削っていく。削っては握りを繰り返して、使いやすい形状を模索しながら削る。ここが一番楽しい。この手のハンドル形状の場合、すべてベルトで削ろうとすると無理があるので、ハンドルのおなか側はヤスリを使って作業したほうが早かったりする。

全体の90%くらいの仕上がりになって、これ以上大きな形状変更がないぞ、となったらボルト用の座繰り穴をあける。ボルトが完全に締め切ることができる深さを計算して穴あけをする。ボルトを締めこんだら余分なところは弓ノコでカット。その後ハンドルとボルトに段差ができないようにしながらハンドルを研磨していく。細かい番手で磨きすぎたり、バフをかけすぎたりするとボルトとハンドルに段差ができやすいので注意。

これで完成。起伏のゆるやかなコークボトルのハンドルになるように心がけて削ったのと、実用で使うとのことなのでピカピカにはせず、#400程度の粗めの仕上げで滑り止め効果を狙った。今回は「純正シースにぴったり合うように」との依頼だったので、きちんと元の鞘に収まるようにハンドル前方の形を整えた。

ということで、今回のミッションは無事完了。
ハンドルの穴埋めを新しい接着剤でできるようになったことと、シースにきちんと収めることができたのが今回の収穫だった。

ハンドル交換するとナイフが生まれ変わるので新品になったような感覚になります。興味を持った方はぜひ挑戦してみてくださいね。

 
 
 

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