JKGナイフコンテスト2015 結果
第36回JKGナイフショーは盛況を持って無事終了しました。ご来場くださったお客様をはじめ、関係者のみなさま本当にありがとうございました。JKGナイフショー内では先だって行われたコンテストの結果発表がありました。
今回の応募総数は33作品。なんと過去最多となり、さらなる盛り上がりを見せたコンテストとなりました。たくさんのご応募、本当にありがとうございました。
さて今日はコンテストで見事受賞をした作品をご紹介いたします。
会場に行けなかった人も、これでぜひ受賞作を確認してくださいね!あらたな才能を発見するチャンスです。
厳正なる審査会
ちなみにこちらが審査会の様子です。審査員の真剣な眼差し。整然と並べられた作品。このような厳正なる審査会によって、各賞を決定していくことになります。
プロ・ライター圷正史氏の解説
今回JKGナイフショーでは、初の試みとして受賞作に小さな解説文が付けられてガラスケースに展示されました。なんとこの解説文、ナイフマガジンでお馴染みのライター、圷正史さんによるものなのです。
日本のナイフシーンを黎明期から見守り続けたプロライターが解説してくれるなんて、もはやナイフマガジンに載ったも同然。受賞者にとってはナイフマガジンに掲載されるのと同じくらい名誉なことです。
受賞作品紹介
それでは、たくさんの応募の中から見事に賞を獲得した作品をご紹介していきます。
JKG大賞(JKG Grand Prize)
安永朋弘(Tomohiro Yasunaga)
インテグラル・インターフレーム・バックロック・フォルダー(Integral interframe back lock folder)
「非の打ち所がない」とはこのナイフのためにある言葉かもしれません。
審査員を唸らせたのは、文句をつけるところがないほどの精巧さ、清潔感、そして動きのスムースさでした。小柄なフォールディングナイフながら、その存在感は抜群の作品でした。
優秀シースナイフ賞(Best fixed blade)
向大喬(Hirotaka Mukai)
ラブレス・デザイン・ガットフック・インプルーブドハンドル
(Gut hook skinner ,Inproved handle, Designed by R.W.Loveless)
ご本人がハンターで、皮はぎを手伝う息子さんのために作ったというナイフ。精巧な作りはもちろんのこと、全体のバランスからはじまり、フックの開き角度などの細部までが評価されての受賞となりました。
優秀フォールディングナイフ賞(Best folding knfe)
白鳥聡(Satoshi Shiratori)
ファンシー・ロールアップ・ヒルト(fancy roll up hilt)
2年前のコンテストで圧倒的な作りこみで見事大賞を受賞した白鳥さんがまたまたものすごいナイフを作って帰ってきました。これほど緻密な細工ありながら動きは羽のように軽やか。装飾も上品でデザインも見事で、安永さんの作品と最後まで大賞を争いました。
藤本メモリアル賞(Yasuhiro Fujimoto memorial Award)
岩田進(Susumu Iwata)
Sowbelly 5 blade knife
参考図書を読みながら独学で作り上げたという岩田さん。その努力と、完成度の高さでプロナイフメーカーの団体JCKMが選ぶ、藤本メモリアル賞を見事獲得しました。
鈴木眞メモリアル賞(Makoto Suzuki memorial Award)
加藤四龍(Shiryou Katou)
ガルフ・ストリーム(Gulf Stream)
「ニューヨークスペシャルをクルックド・スキナー風にしてみたらどうなるのか?」という着想から生まれたこの作品がコレクターの審査員が選ぶ鈴木眞メモリアル賞を受賞しました。見た目のユニークさからは想像もできない難しいブレードの研削技術が大いに評価されての受賞となりました。
アートナイフ賞(Best Art Knife)
澤口勉(Tsutomu Sawaguchi)
Mezzo
2年連続のアートナイフ賞受賞となりました。
加工技術、デザインセンス、すべて完璧ですが、圧巻だったのはブレードの加工。一つのブレードの中にホローグラインド、フラットグラインド、コンベックスグラインドという異なるブレード形状を表現していました。ヤスリでの加工にこだわり、ヤスリでしかできない加工を実現する、まさにアーティストです。
デザイン・アイデア賞(Best design & Idea)
宮野一郎(Ichiro Miyano)
ミニボウイ・スパイラル(Mini Bowie Spiral)
これまでにない新しいデザインでコンテストに挑戦したという宮野一郎さんは見事デザイン・アイデア賞を獲得しました。
ベテランらしい安定した技術はさすがの一言。
奨励賞(Incentive Award)
柿﨑博孝(Hirotaka Kakizaki)
BREANT 15-4
るつぼ製鋼法によりウーツ鋼を自作して、それを鍛造したという驚くべき作品。新たな才能がまた見つかりました。
内田啓(Kei Uchida)
5” Utility Hunter
ラブレスの人気モデルで真っ向勝負した内田啓さん。ムダをすべてそぎ落とし、ラブレスナイフをラブレスナイフのまま作ろうというコンセプトで作られたナイフは、上品でありながら力強さを備えた、まさに“機能美を携えた道具”といった印象でした。
池添雄太(Yuta Ikezoe)
セミスキナー(Semi Skinner, Designed by R.W.Loveless)
池添さんはこのコンテストの常連で、常に何かの賞を受賞する実力者。今回も見事奨励賞を獲得しました。
ボール盤とヤスリなど、本当にごく限られた機械・工具で作られたとは思えないほど精巧で美しいナイフです。
プロ顔負けの確かな技術力はさすがです。
間狩純平(Junpei Makari)
ビッグ・ベア・インテグラル(Big Bear Integral)
伝説的ナイフメーカー、クレスラーのお株を奪うインテグラルのビッグ・ベアです。
シースナイフの中で難易度が最高峰であるインテグラルナイフをこのサイズで作るのには、驚くべき根気と集中力、そして時間が必要であることは想像に難くありません。これほどのものを作るナイフメーカーは世界を見渡しても数多くいないはずでしょう。コンテスト応募者の中でもとびきり若い間狩さん。これからどんなナイフメーカーとなっていくのでしょうか。
大泉好孝(Yoshitaka Ohizumi)
Dragon Claw
静岡のナイフメーカー鈴木伸明氏のデザインをライナーロックのフォールディングナイフにリ・デザインした作品です。彫刻は小池憲男さんによるもの。美しいデザインと調和のとれた全体のバランスが審査員に高評価でした。初めてのコンテスト応募でいきなりの受賞。これからの活躍が楽しみな山形県のナイフメーカーです。
今回の受賞作は以上の12作品です。
どれも素晴らしい作品で、どれが賞を取ってもおかしくないレベルの高いコンテストで本当に審査員の方々は悩みに悩んでいました。とても素晴らしいものばかりなので、機会を見て惜しくも賞を逃してしまった作品もこの場でご紹介させていただきたいと思います。
最後になりましたが、ナイフコンテストに応募してくださった皆様、そして本当に真剣に審査に向き合っていただいた審査員の皆様。無事にコンテストを開催することが出来たのは、皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
そして、来年のご応募も心よりお待ち申し上げております。
この記事が未来のナイフメーカーの背中を押すことを祈って。