手直しのため、グレイマンナイフを預かった。

かなりタフに使われてしまっていたようで、刃はこぼれブレードバックがメタメタの状態になってしまっていた。焼きが甘いのもあるのかもしれない。あるいはブレードバックを叩いて薪割ったりしたのかもしれない。フラットだった所はボコボコで、セレーションも完全に使えない状態になっていた。

直すにしても、このボコボコになった部分はすべて削り取り、磨き直さなければいけない。結構な手術になりそう。なによりも、タクティカルナイフという一つの分野でアイコニックな存在ともいえる価値あるナイフなので慎重に事を進めなければいけない。

完全に削りなおしてきれいにするのならば問題はない。しかしこの彼らしい荒々しい感じを残しつつリメイクするのはなかなか気を遣う作業だ。

慎重に作戦を立て、徐々に(というより、実際にはおっかなびっくり)ブレードバックを成形することから始めた。

平面部分は問題なく凹凸が完全になくなるまでバーキングで削り落としていく。問題はセレーションの部分だ。持ち主に確認したところ、セレーションのないモデルもあるから気にせず削り落としても構わないと言われたが、このセレーションはデザイン的にもこのナイフの重要なファクターであると思ったので、自分のできる限り残して生かそうと思った。

実際には、元々の削りに合わせて5”ホイールで徐々に角度を付けてつぶれてしまった部分をそぎ落としていく。結果、セレーションの溝を残しつつ、つぶれてしまった部分を削り落とた。

グレイマンらしく無骨な感じで行くならこのベルト目を残してそのまま完成という手もあったが、結局手磨きで仕上げることにした。自分のような普通の人がベルト目を残して完成としても、結局それは手抜きにしか見えない。ヘタウマ感を出せるのはやはり選ばれし人にしかできない気がするのだ。(でも気持ち荒々しい感じが出るように意識して磨いた)

刃付けはかなり鈍角で研がれているのでいつもより気を使った。バーキングでベルトのサイドのたわみを利用するなどして付けることにした。

依頼主にOKをもらい、なんとか無事リカバリーを完了することができた。
追加の依頼でkydexシースを新調することになったので、この話は次回へつづく。

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