ZDP189とサンバースタッグのナイフキット
今や貴重品となってしまった日立金属の粉末鋼ZDP189。日立金属はすでに外国資本となり、おそらく今後あらたにZDP189が製造されることはないと思われる。そしてサンバースタッグ(インド鹿の角)。インドが輸出を禁止してから長い年月が経ち、国内のサンバースタッグは枯渇の一途をたどるのみ。
そんな希少な素材2つを持ち込みで受け取り、ナイフキットを作ることになった。
ものすごくありがたいんだけど、全く替えのきかない素材を預かると緊張感がすごい。
依頼してくれた人は、「なにがあっても絶対文句言わない!」と言ってくれたのだけどものすごいプレッシャーを感じる。
慎重に作業を進めて、最終的には自分で作ってみたくらいのいい感じのキットになった。
持ち込みの材料を加工するのにはものすごいプレッシャーが伴う。
もちろん失敗はできないし、失敗してしまったら今回のように弁償すら難しい場合もある。こういうプレッシャーを乗り越えて、失敗しない方法を学んでいくことが大切なんだろうと思う。
ナイフ作りは結局、失敗しないで完成までこぎつければとりあえずは成功なのだ。
「失敗の要因をいかに消していくか」これが上達と成功のカギだ。
失敗を回避するための答えは新たな治具にあるのかもしれないし、作業工程の順序にあるのかもしれない。それを見極め、改善し、失敗なく確実にモノを作れるようにすることがより良いナイフを作っていくために大切なことなんだと思った。