ナイフづくりする人にとっては、ベルトサンダーのベルトの裏側にある平らな板のことでおなじみの「プラテン」とは、ラテン語の「平らな板」を意味する「platta」が語源なんだそうです。英語の「Flat(フラット)」の語源的なものでもあるっぽい。

ほとんどのベルトサンダーには標準装備でプラテンが設置され、それに押し当てながら鋼材を削ることでナイフの刃を削ったり、テーパータングにしたりすることができます。

実はこのプラテンの平面度、ナイフづくりをするうえで重要な部分なのです。このプラテンが経年変化でガタガタにすり減っていたり、若干飛び出しているネジが悪さをしたりするのです。腕が良くてもプラテンが良くないと、正確なグラインドはできません。

バーキング純正のプラテンもネジ頭が出ていたり、高さが足りなかったり、ナイフを作る上級者にとっては不満の残る部分があります。ほとんどの人はこのプラテンの高さを変え、平面の信頼できるものにして、焼き入を施して硬度を上げて使用しています。

ということで、最近バーキングを入手したお客様からプラテンの強化版のご注文をいただいて制作しました。

まずは6面フライス研磨をした13㎜厚の鋼材(SKD11)を用意。

プラテンの素材13㎜のSKD11(D-2)

正確な位置にポンチを打ち、タップを使ってM6のネジを切ります。この時、おもて面にネジが露出しないように内部でネジが止まるようにしておきます。ちなみに正確なポンチを打つ場合は、「光学センターポンチ」があると誰でも簡単に精度の高いポンチングをすることができます。

プラテンの素材へ正確なポンチング

ホイールと干渉しないように逃げ加工をフライス盤でほどこして、熱処理へ。

プラテンの上下の逃げ加工

硬めに熱処理をして、無事に完成しました。
プラテンが変わるだけで、ブレードもテーパータングも格段に美しく仕上がります。

プラテン完成品を接続した写真
プラテン装着図、裏側

プラテンは消耗品です。熱処理をして長持ちするようにしてありますが、使用頻度によって5年から10年ほどするとやはり摩耗していってしまうので、そのうち交換が必要になります。相田義人はかつてプラテンを耐摩耗性の高いCV-134で製作して使っていました。それだけこのパーツを重要視していたということですね。

よいナイフをつくるためには定期的なメンテナンスが必要なパーツです。なんかうまくいかないなと思ったときは、たまにプラテンの状態をチェックしてみては。

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