グレイマン用のKydexシースを作った
前回リペアを施したグレイマンのナイフにKydexシースを製作する。
製作するシースは全体的にお任せをしてもらったので、自分なりの作りやすくかつ依頼主の希望に合うようなものを作ることを心がけた。なるべくコンパクトに携行性が良いものを目指すことにする。
コンパクトにするには折り畳み型のシースにしてハトメやねじ止めを片側のみにすべきなので、まずはベースを折り畳み式にして製作する。
今回のブレードはエッジラインがS字のカーブを描いていて、抜き差しするときに引っ掛かりやすい。何も考えずに折り畳み式にしてしまうとうまく押すことは出来ても、抜き差しするのが大変になる。というか抜けない。なので、一度折りたたんだものを作ったら、背中側をカットして開きやすい形状に成形する必要がある。
このように背中側をカットして開きやすくすることでリカーブデザインのブレードでも抜差しできるようになる。これの難しいところはカットし過ぎるとユルユルになって取り返しがつかないということ。慎重にテストを繰り返しながら、簡単には抜けないけれど、意思があるときはスッと抜ける、そんな絶妙な位置を探っていくのだ。
ベースが出来上がったらあとはベルトループを製作する。
ベルトループのオプションパーツをKydexでかっちり作るのもいいが、動きに制限ができてしまうため、椅子に座ったりしにくいという声もある。今回はレザーでループを作り、Kydexとレザーのハイブリッドシースにすることにした。
本体を巻き込むように帯状のものを取り付け、それにベルトループになる部分を組み合わせる。
帯の部分を利用してベルトに対して横に装着することも可能だ。ちなみにこの帯があることでKydexシースのベースのテンションがしっかりかかるように計算(というほどじゃないけど)してある。
レザーを使用する部分はすべてねじ止めにして、将来、レザーの部分が消耗しても簡単に作り直せるようにした。
ブラックのKydexとレザーという組み合わせが個人的にすごく気に入っていて、見た目の重厚感もあり、Kydexの近未来的な質感も損なわない美しさがあるように思っている。最近のマイブームなのだ。
よかったら、このオイルド・レザーを使ってみていただきたい。
写真のようなハイブリッド・シースを作ることができる。
依頼主に無事納品し、満足していただいた旨の連絡を頂けた。
貴重なナイフのリペアとシース製作はとても緊張感のある仕事だったけど、新たな知見を得ることができたし、またひとつ小さな階段を上がることができたような達成感があった。
ご依頼いただき、誠にありがとうございました。