第32回JKGナイフコンテスト結果
2016年のJKGナイフコンテストは42名、49作品の応募がありました。おそらく過去最高の応募数でした。ご応募してくださった皆様、誠にありがとうございました。コンテストの結果はJKGの公式ホームページでも掲載されていますが、このブログでもご紹介させていただきます。
大賞
渋谷徹
見事に大賞を獲得したのはオリジナルのロック機構を備えたこのナイフでした。サイドボタンを押しながら裏側のレバーを引くことでオープンできるアイデアとインターフレームなどを含めた加工技術が高く評価されました。過去もサイド・ロックのナイフで応募されていましたが、デザイン性も含めて大きく路線変更したのが驚きでした。
優秀シースナイフ賞
向大喬
ラブレスデザイン・ビッグ・ベア
渋谷さんのナイフと大賞を争ったのがこの向大喬さんのビッグベア。グラインド技術もさることながら、ハンドルの構造も凝っていて、テーパードダングにナロータングを合わせた作りになっています。ボルトやピンをが露出しないように工夫され、重量バランスも計算されつくしていました。また、シースも左右どちらからでも挿せる構造にするなど、随所に審査員が唸るような工夫が見られました。
優秀フォールディングナイフ賞
大渕勲
山田卯三郎10丁出 多徳ナイフレプリカ
写真をもとに再現したという10丁出の多徳ナイフ。これを具現化してすべてを完璧に仕上げ、1本のスプリングで3つのブレードを一定のテンションをかける技術力は圧巻でした。
藤本保廣メモリアル賞
伊藤亮
Gun grip Folder
中二病全開で自分の作りたいものを作った、という伊藤さんの作品は、ほかにないユニークなデザインと、男心をくすぐるメカニカルな構造・デザインが最高でした。ロックリリースボタンを採用するなど機能性も備えており、熟慮の上に完成したナイフというのが一見して分かる、素晴らしいナイフでした。トラディショナルなスタイルのものが評価される印象のあるJKGナイフコンテストですが、そういった世間の評価に一石を投じる結果となりました。
鈴木眞メモリアル賞
松﨑猛
ガットフック・フォルダー・インプルーブドハンドル
フォールダーであることすらわからない、忘れてしまうほどの迫力とボリューム感のある作品でした。ハンドルの造形技術や刃先だけを蛤刃にするといったブレードの研削技術など、あらゆる部分で長年プロとしてやってきた松﨑さんのプライドを随所に感じる作品でした。
アートナイフ賞
澤口勉
流線型の美しいデザインはどことなくガーバーのマグナムハンターを彷彿とさせますが、それは狙ってやったのではなく結果として似たようなシルエットになったそうです。メタリックな外観はどこか近未来的な印象で、触るのをためらうほど美しいものでした。
デザイン・アイデア賞
川上圭三
Scambio
ブレードを交換することのできるデタッチャブル構造の作品です。ギミックのアイデア、そして加工精度、ブレードを交換しても違和感のないデザイン性、あらゆる面で川上さんのセンスの光る素晴らしいナイフでした。だれもが納得のデザイン・アイデア賞です。
奨励賞
間狩純平
インテグラルガットフクスキナー
新進気鋭のインテグラルの名手が作り上げたのはガットフックのインテグラルナイフ。目の覚めるような青さをしたマンモスを使用し、迫力満点のインプルーブドハンドル。インテグラルナイフの持つ重厚さ、高級感、すべてを備えた作品でした。
鶴田雅彦
NSPフェザー
ブレードのダマスカスはフェザーパターンという柄で、中央から葉脈状に模様が広がっていくもの。国内でこのパターンのブレードを製作している人はおそらくほとんどいないと思われます。こういった美しいダマスカスを製作できる人が日本にもいるというのがうれしいですね。
下谷拓也
HERCULES
ヘラクレスという名の通り、すごくタフな使い方ができる鉈のようなナイフです。想定する用途を、木を切る、割ることに限定しています。用途とデザインに違和感がなく、細部まできちんと丁寧な仕上げを施してあります。カスタムナイフの神髄を示した作品といえるかもしれません。
境志泰
桜
木目金、布目象嵌、拭き漆など、ここに施されたあらゆる装飾技術を独学で身に着けたという驚くべき方。まだ20代ということで、今後さらなる活躍が期待されます!
向喬平
向大喬デザイン ストレートエッヂ
なんと、優秀シースナイフ賞を獲得した向大喬氏のご長男!JKGナイフコンテスト史上初の親子同時受賞という快挙を成し遂げました。しかも受賞したナイフがお父さんのオリジナルモデルというのがまた素晴らしいですね。
彼もまだ学生でとても若く、その上、幼いころから父親の狩猟現場について行ってナイフを使い倒しているという猛者なのです。境さんしかり、若いナイフメーカーのさらなる活躍が期待されます!
以上、第32回JKGナイフコンテスト受賞作の紹介でした。どれが大賞をとってもおかしくない、かなりハイレベルなコンテストでした。
別の記事でこのほかの応募作品もご紹介しますね。