自作ナイフの精度を上げる!ベルトサンダーのプラテン改良
「一生懸命削っているのに、どうしても面がビシッと決まらない…」 もしあなたがそう感じているなら、疑うべきは腕ではなく「プラテン」かもしれません。ナイフメイキングの精度を劇的に変える、この小さなパーツの秘密を深掘りします。
なぜ「良いプラテン」が必須条件なのか
ナイフづくりする人にとっては、ベルトサンダーのベルトの裏側にある平らな板のことでおなじみの「プラテン」とは、ラテン語の「平らな板」を意味する「platta」が語源なんだそうです。英語の「Flat(フラット)」の語源的なものでもあるっぽい。
ほとんどのベルトサンダーには標準装備でプラテンが設置され、それに押し当てながら鋼材を削ることでナイフの刃を削ったり、テーパータングにしたりすることができます。
実はこのプラテンの平面度、ナイフづくりをするうえで重要な部分なのです。このプラテンが経年変化でガタガタにすり減っていたり、若干飛び出しているネジが悪さをしたりするのです。腕が良くてもプラテンが良くないと、正確なグラインドはできません。ナイフの側面(ベベル)をフラットに仕上げるには、土台となるプラテンが「完璧な平面」である必要があります。プラテンが歪んでいると、いくら丁寧に削っても面が波打ってしまい、光を当てた時に反射が歪んで見えてしまいます。
バーキング純正のプラテンもネジ頭が出ていたり、高さが足りなかったり、ナイフを作る上級者にとっては不満の残る部分があります。ほとんどの人はこのプラテンの高さを変え、平面の信頼できるものにして、焼き入を施して硬度を上げて使用しています。
初心者がチェックすべきプラテンのポイント
これからベルトサンダーを導入する、あるいは改造を考えている方は以下の3点に注目してください。
- 平面度: 定規を当てて隙間がないか。
- 耐摩耗性: 長時間使っても削れて凹んでこないか。
- 拡張性: 摩耗した時に、プラテン部分だけ交換(またはライナーの貼り替え)が可能か。
このプラテン周りの剛性と精度はナイフの出来栄えにかなり依存します。
「弘法筆を選ばず」と言いますが、ナイフメイキングに限っては**「良い道具が良いナイフを作る」**のが現実です。
特にプラテンは、一度手に入れれば長く使えるパーツです。もし今、「どうしても面がきれいに仕上がらない」と悩んでいるなら、一度ご自身のプラテンの状態をチェックしてみてください。
ということで、最近バーキングを入手し真剣にナイフ作りをしているお客様たちからプラテンの強化版のご注文をいただいて制作しました。
製作工程
まずは6面フライス研磨をした13㎜厚の鋼材(SKD11)を用意。

正確な位置にポンチを打ち、タップを使ってM6のネジを切ります。この時、おもて面にネジが露出しないように内部でネジが止まるようにしておきます。ちなみに正確なポンチを打つ場合は、「光学センターポンチ」があると誰でも簡単に精度の高いポンチングをすることができます。

ホイールと干渉しないように逃げ加工をフライス盤でほどこして、熱処理へ。

硬めに熱処理をして、無事に完成しました。
プラテンが変わるだけで、ブレードもテーパータングも格段に美しく仕上がります。


プラテンは消耗品です。熱処理をして長持ちするようにしてありますが、使用頻度によって5年から10年ほどするとやはり摩耗していってしまうので、そのうち交換が必要になります。相田義人はかつてプラテンを耐摩耗性の高いCV-134で製作して使っていました。それだけこのパーツを重要視していたということですね。
よいナイフをつくるためには定期的なメンテナンスが必要なパーツです。なんかうまくいかないなと思ったときは、たまにプラテンの状態をチェックしてみては。