海釣りが趣味のお客様から、「どうしてもフルタングのタフな小出刃がつくりたい!」というご要望を頂きまして、キットを作ることになりました。

要望

まずは、用件を聞き、簡単なデザインを送ってもらいました。

鋼材:8㎜厚(D-2)

仕様:片刃でうっすらとした蛤刃、そして裏漉きを入れる事

ハンドル材:G-10

製作

まずは頂いた図面をもとに外形を切り出し。

完全実用重視の凄くシンプルな形状で、ハンドルも四角くドカっ!という感じ。

外形が出来たので先に裏漉きの加工をします。

包丁で身幅が広いので、12インチのホイールを使って掘るようなイメージで削っていきます。テーパータングを加工するときの前段階の堀りのような感じです。

先端を中心線にして、徐々に掘り込んでいきます。12インチでもすこし足りないので、少し上下に押し広げるようなイメージで漉きの面積を広げていきました。

せっかくだから綺麗に漉きたいので、高速度でホイールを回し、かつ慎重に押し当てていきます。

慎重にやったおかげでこんな感じできれいに掘り込むことが出来ました!

続いては刃を研削していきますが、こちらはいつも通りに削っていく感じ。

かなり大きな骨もがっつり裁てるようにということで、コンベックス(蛤刃)にする様にという指示を頂いているので、それに則して削っていきます。

熱処理の焼き曲がりのリスクもありますが、蛤刃の場合は追い込んでおかないとあとで刃を付けるのが死ぬほど大変になってしまうので、エッジはかなり追い込んでおきます。あとは熱処理で曲がらないように祈るのみ!

アゴのエッジで手を切りそうだから面取りもしておきましょう。

無事熱処理から帰ってきたので(曲がらなかった!)、あとはハンドルを穴あけ加工すればキットとして完成です。

ハンドルの両側がずれないできちんとはまるように、ボルトの頭が少し出るくらいに加工しておきます。こんな風に1~2㎜くらいでもボルトが穴にきちんとはまるようにしておくとハンドルがずれないで取り付けられるようになります。

ハンドルの前面の形状は自分で調整し出来るように少し長めにしておきました。

丸く加工してもいいし、そのまま角を立ててみてもいいかもしれません。

というわけで、キットとして無事に完成しました!

あとはご自分で磨き、研いで、ハンドルを自由に削って気ままに作ってもらいます。

包丁は専門外ではありますが、こういった要望にも出来る限りの応えていくことで徐々に実力を付けていきたいなーと思うわけです。

最初は裏漉きとかやったことなくて、仕事を請けたはいいがどうなるかドキドキもんでしたが、何とかまとまってよかったですw

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