今回は、お客様のオーダーで作ったカイデックスシースの製作工程を紹介します。
構造は単純で、とてもコンパクトに仕上がる基本的な構造のカイデックスシースです。
それでは製作工程を順を追って説明していきます。
 

製作工程

1.シースをデザイン

今回依頼されたのはこのナイフです。ヒルトがないもので、ハンドルはパラシュートコードを編んだものでした。
ヒルトなどの引っかかる場所ない場合は、一箇所でカチッと止めることのできるロックが作れないので、全体の面圧でシースを抑える方法にします。
写真 2014-09-06 11 25 46
 
まずは方眼用紙にナイフの型を写しとり、デザインします。
今回はひとつの板を折り曲げる方法を採用することにしました。
周りの四角形が実際に切り出して使うカイデックスの大きさです。
僕の経験上、出来寸から1.5cm~2.0cmほど大きく取ると失敗が少ないです。
写真 2014-09-06 11 41 07
 

2.カイデックスを切る

使用するのはカイデックス コヨーテ・ブラウン 1.5mm厚×300mm×300mmです。市販のカッターで2~3回スジを入れて折り割ります。
写真 2014-09-06 11 44 06
 
そうそう、カイデックスシースを作るときは大事なナイフにキズがつかないように、あらかじめ刃の部分に養生テープを貼っておきましょう。テープはなんでもいいんですが、ガムテープみたいに厚いものを使ってしまうと剥がした時にシース内の隙間が大きすぎるので気をつけてください。
写真 2014-09-06 11 47 49
 

3.カイデックスの加熱・成形

ヒートガンを使って、カイデックスに熱風を当てます。この時、裏側(ツルツルの方)から当てたほうが良いです。オモテを熱で溶かしてしまうとテカテカになって出来上がりがかっこ悪くなってしまうのです。
しばしの間、カイデックスが万遍なく温めます。200℃近くになるとフニャフニャになります。
写真 2014-09-06 11 52 54
 
フニャフニャになったのを見はからってナイフをカイデックスで包み込み、木工バイスでギューっと締め込みます。灰色のやつがフォームプレッシャー(15mm)です。写真で見る通り、フォームプレッシャーが変形してはみ出てくるぐらいきつく締め込みます。また、ここでのコツは何よりもカイデックスが熱いうちにバイスで加圧することです。段取り良く加圧できるように作業場を整理しておきましょう。
写真 2014-09-07 9 16 26
 
万力から外すとこのような感じ。ここまでくるとほぼ全体が見えてきますね。
写真 2014-09-06 12 07 50
 

4.ハトメ用の穴あけ

留め具はハトメを使用します。穴のピッチは、テックロックもつけることができるように現物合わせで穴位置を決めていきます。
写真 2014-09-06 12 11 07
 
穴位置が決まったら、ずれないように慎重にボール盤で5mmの穴を開けていきます。
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ハトメを専用のポンチで打ち込んで固定していきます。
写真 2014-09-06 17 17 18
 

5.外形の研削

アウトラインを鉛筆などで書き込み、それに合わせて余分をカットしていきます。出来寸法ギリギリで切っていくとリスクが大きいので、少し大きめに切ります。
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こんな風に大雑把に切り出しました。
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ここからはバーキングの出番です。バリバリと余分なところを削っていき、理想的な形に近づけていきます。電気工具がなくても、ヤスリを使えば削っていくことができます。
写真 2014-09-06 17 34 34
 
外径を削り終えたら、クリーム棒を使ってバフで研磨します。そうするとコバの部分が綺麗に光り出します。バフは高速で回して軽く当てます。
写真 2014-09-06 17 34 44
 
これでひとまず9割ほどが完成です。
写真 2014-09-06 17 48 03
 

6.水抜き穴加工

つぎに水抜き穴を開けます。シース用のポンチで穴を開けることができます。
写真 2014-09-06 17 45 27
 
皮をナイフの形に切って中に入れ、ポンチが裏側まで貫通しないようにしてからポンチを打ちました。
写真 2014-09-06 17 46 23

7.最終調整

最初にブレードに貼った養生テープを剥がし、ナイフを抜き差ししてみて調子を見ます。どうしても養生テープの厚みなどで緩くなってしまったりすることがあります。そういう場合は温めたいところだけを露出させてヒートガンで温めて、微調整を行います。
写真 2014-09-07 8 57 18
 
完成したのがこちら。もともとの皮のシースよりも薄く、コンパクトな仕上がりになりました。
重量も軽く、持ち運びにも便利です。
写真 2014-09-07 9 40 54
 
テックロックも装着することができます。テックロックは表裏どちらでも付けられるので、左利きの人にも使えます。
写真 2014-09-07 9 41 06
 
ということで、ざっとカイデックスシースの作り方を紹介しました。今回紹介したのは、1枚の板を折りたたんで作るタイプのシースでした。思ったよりも簡単に製作できますので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!
 
 
カイデックスは、こちらのマトリックス・アイダで購入できます。
Matrix-AIDA.com
 
 
 

5 thoughts on “自作のカイデックスシースを作ろう!

  1. たわし より:

    マトリックスアイダさんにオーダーすればシースを作っていただけるのでしょうか?

    1. knifekozo より:

      たわしさん
      コメントありがとうございます!もちろん、マトリックス・アイダにご連絡いただければお作りいたします。
      どうぞよろしくお願いします。

  2. 親かっぱ より:

    初めまして。シースの作成を依頼したいのですが、値段を教えて下さい。
    刃渡り90mm ハンドル100mmのナイフです。

    1. knifekozo より:

      親かっぱ様

      ご連絡ありがとうございます。
      5000円程度でお作りしております。
      デザインやサイズで多少お値段が前後します。
      詳細についてはマトリックス・アイダのお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
      http://matrix-aida.com/contact/

      どうぞよろしくお願いいたします。

  3. こんどう より:

    こんにちは。古いエントリーに失礼します。
    マトリックス・アイダさん宛てにシース作成の問い合わせをさせていただいたのですが、今はもうやられてないのでしょうか。
    よろしくお願いいたします。

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