JKGナイフコンテスト2014 結果
JKGナイフショーにおいて第30 回JKGナイフコンテストの結果が発表されました。
今回のコンテストには、全国から31 名の応募者が参加されました。おかげさまで前回の24名を大幅に越える募集があり、更なる盛り上がりを見せました。今回は受賞された13名の作品をご紹介します。
JKG大賞(JKG Grand Prize)
宮前敏行さん(Toshiyuki Miyamae)
作品名:ファイティング・ブーツナイフ(Fighting boot knife)
今年は宮前敏行さんの当たり年でした。このJKG大賞だけでなく、アトランタ・ブレードショーにてベスト・フォールダーも獲得し、見事日米2冠を達成されました。
受賞作は、ラブレスのブーツナイフをファイティングナイフ風に形を崩さずにデザインしたフォールディングナイフ。ロールアップヒルト構造になっています。動きはスムーズで、開閉時の美しさも計算され尽くしていて見事でした。
優秀シースナイフ賞(Best fixed blade)
大城将宏さん(Masahiro Oshiro)
作品名:インテグラル・セミスキナー(Integral semi-skinner)
1枚の鋼材を削りだして作るインテグラル構造のセミスキナーを制作した大城さんが見事受賞しました。
V金10号の積層材を使っているためボルスター部分に積層模様が現れています。
手のひらでくるくる持ち替えやすくするのと、滑りにくくするため、ハンドルの凹凸を意識して削りだしたのこと。
藤本保広メモリアル賞(Yasuhiro Fujimoto memorial Award)
松﨑猛さん(Takeshi Matsuzaki)
作品名:レミントンRS3336の複製(Replica of Remington RS3336)
ベテランの松﨑猛さんが堂々の受賞です。各部品の動き、そして仕上げの磨きが完璧に近い作品でした。
ハンドルにインレイされたメダルはオリジナルを複製したもので原一則氏によるもの。
鈴木眞メモリアル賞(Makoto Suzuki memorial Award)
伊藤亮さん(Ryo Ito)
作品名:ライナーロック フリッパー フォールダー(Liner lock flipper folder)
2年連続の受賞の伊藤さん。今回は作風をがらっと変えたライナーロックのフォールディングナイフでの応募でした。
鋼材はD-2をブルーイング処理したもの。ライナーはV金10号を熱処理したものを使用しています。ポケットクリップはチタンを自分で加工して製作しています。
タクティカル・フォルダーを作るカスタムナイフメーカーは日本では希少ですから、今後の活躍が大変楽しみな一人です。
アートナイフ賞(Best art Knife)
澤口勉さん(Tsutomu Sawaguchi)
作品名:木魂(Kodama)
自身念願のアートナイフ賞を受賞したのは、JKGナイフコンテストの常連選手、澤口勉さんでした。
なんとなく「虫」をイメージして製作したという作品。
ブレードの美しい曲線と調和するようにケースにも曲線を多用しています。造形の美しさもさることながら異素材を全く隙間なくすり合わせる技術は驚嘆の極みです。
デザイン・アイデア賞(Best design & Idea)
中根祥文さん(Yoshifumi Nakane)
2丁出しのフォールディングナイフかと思いきや、なんとナイフとフォークが分割できるという、まさにアイデア賞にふさわしい作品。単にアイデア勝負というだけではなく、マンモスアイボリーを使用し、内側のライナーもきれいに磨かれているなど、丁寧な仕上がりが印象的でした。
奨励賞(Incentive Award)
佐竹正明さん(Masaaki Satake)
作品名:TDA-007(スパイク付属ボードトリング用ナイフ)(Knife for boat towing with spike)
ファルトボートでリーバーツーリングを楽しんでいる友人のために作ったというナイフ。
船体外皮を切り裂くシープフット状のブレード、ロープ切断用のセレーション、結び目を解くスパイク、付属のホイッスルなど、実用最優先で設計された作品です。こういった用途が特化したナイフも面白いですね。
水野陽一さん(Yoichi Mizuno)
作品名:3.5インチ・ドロップポイント(ナロータング)(3.5″ Drop point : Narrow tang)
ラブレスの35周年モデルを3.5インチサイズにデザインし、ナロータング構造にしたもの。鋼材にはCV-134を使用しています。
個人的におしゃれだなと思ったのが、ジュラルミンのバットキャップに真鍮のパイプを入れていたところです。差し色になっていて、きれいでした。
下谷拓也さん(Takuya Shimoya)
作品名:HUNTER
なんと、ビールの空き缶を溶かして鋳造して自作したというアルミスタッグ!全体がギンギラギンに光るその姿は異様でしたが、存在感は抜群でした。このハンドルにするのに大きなゴミ袋4袋分の空き缶が必要だったのだとか!
鶴田雅彦さん(Masahiko Tsuruta)
作品名:ハンター スカーゲルイメージ(Hunter : Image of Scagel)
自作のワイヤーダマスカスを使用したというこのナイフ。スカーゲルの風合いが色濃く、渋い作品でした。
世の中にはプロとして活動していなくてもここまでの技術力とセンスを持った人がいるのかと、カスタムナイフの世界の裾野の広さを垣間見たような気がしました。
池添雄太さん(Yuta Ikezoe)
作品名:サブヒルト ファイター(ラブレス ジュニアベア)(Sub hilt fighter)
コンテスト常連で、昨年は優秀シースナイフ賞を獲得した池添雄太さん。今回はラブレスのモデルで応募してくれました。
ボール盤と木工用電動糸鋸以外の工作機械は全く使っておらず、いわばヤスリでここまでの作品を仕上げてしまう技術は恐るべきものです。
ナイフマガジン賞(Knife magazine Award)
渋谷徹さん(Toru Shibuya)
ボタンロックのフォールディングナイフで応募の渋谷徹さん。今回は、ハンドルの装飾が凝りに凝っていました。
ハンドル材をキャンパスに、表裏で表情の違う富士山をインレイで表現していました。スムーズなアクションと、個性的な装飾が評価されて、見事ナイフマガジン賞を獲得しました。
月刊つり人賞(Monthly Tsuribito Award)
松村智郎さん(Tomoo Matsumura)
作品名:Sand borer(サンドボウラー)
魚のキスをモチーフにした作品。ホワイト・キャンバス・マイカルタで白身の魚のイメージを、積層材を静かな波音のイメージを連想させて製作したということです。美しい魚のイメージを見事にナイフのキャンパスで表現していました。
以上が今回のコンテストで受賞された作品です。
今年は応募作が多い上にどの作品のレベルも高く、各賞の決定には決選投票が繰り返し行われたのが印象的でした。
おかげさまでJKGナイフコンテストは年々盛り上がりっており、ますます面白くなっていきそうな気がします。
来年は一体どんな新しいナイフが現れるのか、今からとても楽しみです。
最後になりましたが、ナイフコンテストに応募してくださった皆様。
無事にコンテストを開催することが出来たのは、参加してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
そして、来年のご応募も心よりお待ち申し上げております。