壊れたナイフのオーバーホール
長年愛用していたナイフがとうとう壊れてしまったので直せないか、というご相談を受けお預かりしたのがこのナイフ。
ヒルト(ボルスター)は剥がれ、ハンドルは少し浮き上がり、表面に大きなヒビ割れが。シースはまだかろうじて機能を果たしていたものの、かなりボロボロの状態になっていました。
いずれにしても、ハンドルをはがしてみます。
…
…
…Oh
ハンドル内部は見事なほどに真っ赤に錆びていました。
おそらく、この錆がハンドルを中から押し上げたことによってハンドルが浮き、ひび割れが発生したのではないかと推測されます。
なにはなくともこの錆を落とすことにします。
再利用できそうなヒルトはそのまま使うことにしました。
ブレードは多少の孔食が見られるものの、オリジナルを使ってきた歴史を尊重していじらず、このまま作業を進めていくこととします。
ハンドル材はお客様の希望によりメスキートに決まりました。
まずはヒルトを接着してカシメ、続いてハンドルを取り付けて全体を削っていきます。
元々の形やイメージをなるべく崩さぬよう、そしてこれから十数年使ってもらえるように丁寧に作業をしていきます。
そして出来上がったのがこちら。
シースもラブレスポーチタイプの物を新調して、新品の様に生まれ変わりました。
古くなったものを粗末にせず手を入れて、ずっと使い続ける。
そして、運よく引き継いでくれる人がいたらそれを後世につないでいく。
これもまたナイフの魅力の一つです。