東京フォールディングナイフショー2015 レビュー1
2015年2月21日(土)に行われた東京フォールディングナイフショーに行ってきました。
会場は閑静な住宅街の中にひっそりと佇んでいるのですが、会場内に入ってみると多くのファンで賑わっていて、近年のナイフショーの盛り上がりの波を感じました。
東京フォールディングナイフショーの特徴
フォールディングナイフショーはその名の通り、フォールディングナイフ(折りたたみナイフ)に特化した独特のナイフショーですが、集客のために様々な努力をしています。
今回は特に以前から行われていたナイフメーカーによるトークショーに加え、ベスト・フォールダーを決める投票やプレゼント抽選会などがあったりして来場者を楽しませようとする仕掛けがたくさん用意されていました。
トークショー
今回のトークショーでは、「アウトドアにおけるフォールディングナイフの愉しみと有効性」と題し、カメラマンの長谷川朋之さん、ナイフメーカーの島田英承さん、鈴木義男さん、古藤好視さんによって各々の刃物を使うことの楽しさや刃付けの仕方まで熱く語られました。
特に勉強になったのは刃付けの話で、パネラーにとどまらず会場内のナイフメーカー数名にもどんなモノを使って、どんな方法で刃付けををしているかというなかなか聞けない貴重な話を聞くことが出来ました。驚いたのは刃付けの方法が十人十色だったこと。特に仕上げ砥の番手は#400で終える人から#4000まで仕上げるという人まで本当に様々でした。
トークショーの最後に「上手く研げないという人は単純に経験が足りないだけ。たくさん研いで経験を積んで自分の好みの刃付けを見極めていくのが大切だし、刃物を使う楽しみのひとつである」というような話を島田さんが仰っていて、まさにそのとおりだなと思いました。また長谷川朋之さんが仰っていたんですが、「ナイフはアウトドアへ出かけるための鍵みたいなもの」と。これまた言い得て妙だなと痛く感心しました。
これまでトークショーというものに触れる機会はあまりなかったのですが、これまでの自分の認識が正しかったと再確認できることや、その一方で全く自分の考えもしなかった考え方や知識を得ることができて、とても意義深い時間でした。
テーブル紹介
さてさて今回も気になったナイフをご紹介していきます。
フォールディングショーは本当にレベルが高くて、どのテーブルも見応え充分です。
山本徹さん
VG-10を黒染し、エイジング加工を施した渋い一作です。カシメピンもわざと粗く叩いていたり、異素材でカシメたりして、細部まで作品のコンセプトを突き詰めるところはさすがです。インレイの何かの足あとは銀粘土で製作されているんだとか。
このプルーニングナイフは、棒状のスタッグを2つに割って制作されたものです。
ボルスター周りの凹み加工がなんとも触り心地が良くて、スリスリしてしまいます。
圧巻なのは、ハーフストップ、クローズ時ともすべてブレードの回転部分とボルスターの端部が完璧にツライチになっていること。隣のテーブルの宮前敏行さんもこれをみて「僕は絶対ここまでやらんわー」と笑っていました。山本さんの緻密さがつめ込まれたような作品でした。
宮前敏行さん
珍しいべっ甲を使ったナイフがありました。べっ甲はぬるま湯で温めて伸ばす工程があって、お湯の温度がちょっとでも熱すぎるとあっという間にダメになってしまうほど繊細な素材なんだとか。
話を聞いていて驚いたのが、宮前さんはフォールディングナイフを作るときに特に図面などは書かないんだとか。簡単なスケッチを書いたらそれですぐに作り始めてしまうそうです。しかも、更におどろくべきところは、最近作っているナイフはすべて分解可能で、部品交換などもほぼ傷をつけることなく修復できるそうです。ブレードのピボットピンが飾りになっているのは後で削って取り外せるための工夫の一つなんだそうです。うーん天才ですね…
鈴木美朗さん
今回の東京フォールディングナイフショーでは、少しライナーロックやタクティカルフォルダーを展示するテーブルが目立ちました。アメリカなどではもはや主流にならんばかりの勢いですが、その波が来たといったところです。
鈴木さんも今回の展示のほとんどがライナーロックでタクティカルテイストのものでした。
これまでの東京フォールディングナイフショーはレミントンレプリカなどが多い印象でしたが、徐々に新たな風が吹き込んできたように感じるテーブルでした。
坂内好夫さん
ミニチュアといえば世界的に坂内さんですが、今回もすごいもの作ってます。
こんなサイズのフォールディングナイフ!Zippoとくらべてもこんなに小さい。しかもこれロックバックなんです。しかも動きがいい!もう驚くしかありません。
測ってみたら1インチありませんでした。こんな小さい貝殻に穴開けて削って…坂内さんすごすぎです。
永田征雄さん
永田さんはちょっと前Matrix-AIDAで売っていたシープホーンをつけたナイフを作ってきてくれました。
独特の風合いが、永田さんらしい美しいフォルムのナイフにバッチリマッチしています。
これはいいナイフだったなあー。
見応えあるナイフはまだまだたくさんあるので、もうちょっと続きます。