タクティカル(ストライダー)風味のナイフを作る。
お客様のオーダーでナイフブランクを製作させてもらったのですが、試作で作ったのが少し失敗だったので自分用にしちゃいました。デザインはお客様のものでモチーフはストライダーです。
ナイフ作りの工程
ということで、備忘録的にナイフメーキングの工程を記載していきます。
まずは外形を削りだしていきますが、その前にすべり止めの役目をする背中のセレーションをフライス盤で加工しました。本来ならば穴を開けて削るのが良いのですが、鋼材の身幅がギリギリだったのでこのような加工方法を選択しました。
仕上がりがこんな感じ。
ただこの方法では、加工するエンドミルが細かったのとフライスの送りを多めにしてしまったことで1本エンドミルを破壊してしまいました。その後、お客様に作ったものは横フライスでの加工に変更させてもらいました。
これを基準にしてデザインを罫書き、外形を削りだしていきます。
外形を削りだして、黒皮を削り落とした状態です。
手元が狂ってブレードの顎のところを当ててしまいました(泣)
バーキングを使って10インチのホイールでホローグラインドで削りました。
ホローグラインドだとシノギの先が際立って見えます。さっきの写真のもともと削ろうと思って鉛筆で印してありますが、その形状とだいぶ違います(笑)。誰のものでもないので、ただ削りたいように削っちゃいました。スエッジもその場のノリで付けてみましたが、削り上がってみるとシャープな感じになって結構お気に入りになりました。スエッジ部分はプラテンを使ってフラットグラインドをしています。
#220のベルトで粗いキズ目を消して、熱処理に出します。熱処理に出す際にはタング部分に鋼材名を書いておきます。
熱処理から帰ってきたものを、皮膜を落とすのとキズ目を消すために再度ベルトを掛けます。
この時に立ち上がりをきちんと合わせるように気をつけて削っていきます。
ハンドルを取り付けます。
今回はタクティカル風ということでネジ止めのハンドルにしました。
とは言っても、なかなかかっこいい組ネジが見つからなかったので、今回はカイデックスのクリップオーバー用のネジを使うことにしました。
ボール盤を使って、下穴(4mm)を頼りにして位置出しをして、エンドミルに付け替えて座繰り穴を開けていきます。
表裏でネジのサイズが違います。表側はΦ7.3mm、裏側はΦ10.4mmのエンドミルを使用しました。
ハンドルを仮止めした状態。まだまだ、もっさりした印象です。
このハンドル材はC-tekという素材で、ハニカム模様のアルミニウムを樹脂で含浸したものです。色も数種類ありますが、これはタンと言う色のものです。
ハンドル材をできるだけ薄くして、持ちやすく加工した状態がこちら。結構シャープな印象になって良かったと安心しました。ハンドル前方の凹みはたしか2インチのホイールで加工しました。(そのとき付いていたやつを使って適当にけずったから覚えてないw)
ブレードの仕上げも決めないまま進めていたのですが、タクティカルならやっぱりサンドブラストでしょ!ということで、はじめてサンドブラストをやってみました。使ったメディアは「WA(ホワイトアルミナ)#240」というもの。結構粗い感じに仕上がりました。あとでいろんな人に聞いたらガラスビーズというものがいいようです。ちょっとなれないままにやったので、ブレードは結構まだらなブラスト仕上げになってしましました。まあ、これも勉強ということでヨシとします。
なぜか完成品の写真がなかったのでこのままで終わります(今度追記します)が、とりあえずこれがタクティカル風味の製作記録です。
様々な失敗を乗り越え、なんとか完成に至り感動しています。
ちなみにこのタクティカル風のナイフ、3mmの薄めの材料で作っているので、包丁のような用途にすごく適しています。以外ですがタクティカル風だけどシティユーズにも使える優れたデザインでした!
今回学んだこと
今回、またまた様々なことを学ぶことが出来ました。
1.細いエンドミルでの加工は送りをものすごく小さくしないとエンドミルはすぐ折れる。
2.クリップオーバー用のネジも使い方次第でハンドル固定に使える。
3.サンドブラストは簡単そうに見えて、熟練が必要。あと、メディアの選定も肝。
ナイフ作りはやるたびに小さな満足感と大きな課題が生まれて面白いですねー!
課題は次回のナイフ作りに活かしていきましょう。