JKGナイフコンテスト 2015 その他の応募作品
今回残念ながら受賞を逃したものの応募作品はいずれもハイレベルなものばかりで、受賞作と比較しても全く遜色のない作品ばかりでした。せっかくなのでこの場でご紹介したいと思います。では早速ご紹介していきます。
鶴田雅彦さん
ワビナイフ
自ら火造りでワイヤーダマスカスを24回折り返したものを地金として、刃金に白紙2号を挟み込んだという力作です。
小さな鍛接疵があるのですが、それをあえて残してナイフの“味”にするというニクい作品です。
大城将宏さん
インテグラル・ストレートハンター
厚さ12mmのATS-34を削り出して作ったインテグラル・ナイフです。大胆に削り込んだスタッグは握りやすく、鋼材とハンドル材の段差も全くないほぼ完璧な仕上がりでした。さすが昨年の優秀シースナイフ賞獲得の実力者です。受賞は逃したものの審査員からの評価は非常に高いものでした。
伊藤峰樹さん
Pilot Survival Excellent (パイロット・サバイバル・エクセレント)
オンタリオ社の「パイロット・サバイバル」をコピー&アレンジした作品。ハンドルの造形、彫刻、台座とこれ以上手をかけるところはないのではないかというほど凝りに凝った作りです。ハンドルはバラバラに加工したものを最終的に合わせていったそうです。5年前から製作をはじめ、正味1年かけて完成したというのも納得の渾身の一作。
佐竹正明さん
STK-014 フィッシングナイフ with ティックリムーバー&ツィーザー
「4月末から10月末にかけての北海道根釧原野での釣行用」という超限定的な用途を想定してデザインされたナイフです。
ナイフは淡水魚の処理・調理に適した形状に、そしてティックリムーバー&ツィーザーはこの地域河川に沈んでいる酪農用のナイロン細紐が足元に絡まるのでそれを取ったり、ダニや植物のトゲをとることを想定してあります。制約があるからこそアイデアが生まれるといいますが、まさにそれを地で行く大変ユニークでかっこいいナイフです。
横山悠さん
クラシックハンター
わざと真鍮をエイジング処理をしたり、ハンドルを粗く仕上げることでクラシカルなイメージを強調した作品です。作り手のイメージがしっかり伝わってくるナイフでした。
下谷拓也さん
folding 712
すごくきれいな肥後守で、とてもスタイリッシュな印象を受けます。ピボットピン裏にはワッシャーが仕込まれていてブレードに回転傷がつかないように工夫されています。
小林徹さん
サブヒルトファイター
ブレード長6.5インチのサブヒルトファイターをヤスリで製作したという驚きの実力者。ナイフづくりが楽しくて仕方ないという方で、どの作業工程も楽しんで製作されたそうです。細部まで丁寧に仕上げられたど迫力のファイターでした。心から感服しました!
ブラックウッドに真鍮フィッティングというのも渋くていいですね。
堀安弘さん
相田義人モデル セミスキナー
製作歴はまだ1年程度とのことですが出来栄えはそのキャリア以上のものを感じるほど素晴らしいものでした。メリハリのあるハンドル形状が印象的なナイフです。
中沢誠さん
オサージ・FG
ブレードバックの波が印象的なCooperのOsageというナイフをアレンジしたナイフです。人工大理石のハンドルがとても美しく、高級感のある仕上がりでした。CV-134を完璧なミラー仕上げにしているところもすごい。
山田健治
スキナー
希少な厚物のマザー・オブ・パールを惜しげもなく使ったプレミアムな作品です。
細部まで丁寧に丁寧に仕上げてあり、作者の思いと誠実さがあらわれてくるようなナイフでした。
水野陽一さん
3.5”セミスキナー
チョイルのようにエッジラインを下側に1mmほど出して、使用時の研ぎやすさを考えてありました。ブレード研削技術、ハンドルシェイプ、シースの出来栄え、どれをとっても審査員からの評価はすこぶる高い作品でした。
奥田敏朗さん
朱雀
スタイリッシュなブレード形状にシンプルなツゲのハンドル。特筆すべきはシースに彫られた朱雀。これはまず彫刻刀で絵柄を彫り、そこにポスターカラーとエポキシ接着剤を混ぜて埋めたのだそうです。凝っていますね!
松村智郎さん
麒麟
鮮やかな色合いのジラフボーン(キリンの骨)をハンドルに使った、とてもキャッチーな作品。
積層材のブレードとの相性もよく、印象に残る美しいナイフでした。
辻本充彦さん
ミニ ボーイナイフ
角張ったデザインがどこかしらクラシカルな雰囲気を醸し出していました。ZDP189を美しく傷ひとつないミラーに仕上げるなど、並々ならぬ気合を感じました。
吉村勉さん
ラブレス ガットフックスキナー
1年前から製作をはじめ、なんとここまでのインプルーブドハンドルのガットフックを作るまでになってしまったという驚きの新人ナイフメーカーです。ベルトサンダーなどではなく、ヤスリでここまで製作したとのこと。これからどれほどすごいものを作っていくのでしょうか!楽しみです。
佐々木潤さん
メス型ナイフ
鋼材を削り出すだけのシンプルな作りのセットナイフ。シースに入れた姿がウサギさんのようで遊び心があります。
堀居賢司さん
爽風
パロサントという木材のハンドルを草原に見立て、ハンドルに蒔絵・螺鈿装飾を施したアーティスティックな作品。幻想的で夢のある美しい作品でした。ほかの作品も見てみたい、そんな気持ちにさせるとても独自的なナイフメーカーが現れました。
長澤一弘さん
ガットフック・スキナー
知り合いのハンターにヒアリングをしながら何度も型を作り直していったという現場主義のガットフック・スキナーです。フック部分を深くえぐっているのが特徴的でした。
伊藤亮さん
Humpback Flippe(ハンプバック フリッパー)
伊藤さんは日本で希少なカスタム・タクティカルフォルダーを作るナイフメーカーです。このモデルは開閉をスムーズにするためにピボットピンにスラストベアリングが入っていて、気持ちよくブレードを開閉することができます。また、ブレードの後ろ上下に位置調整のボルトが仕込まれていて、長期使用してガタがきても直すことができるというユーザー目線に立った工夫もされています。
鈴木豪太さん
水面(ミナモ)
今回の応募者の中で最年少のナイフメーカーでした。オリジナルデザインのフォールディングナイフで、そのデザインやカラーリングのセンスの良さが審査員の中でも話題になっていました。今後が楽しみな若手が登場しました。
福島幸夫さん
サイドロック式
DVDやYOUTUBEなどを参考にしながらサイドロックのフォールダーを作り上げたという根性の一本。
大型のフォールディングナイフで迫力ある作品でした。
これで応募作全33作品すべてをご紹介しました。
ご覧いただいてわかる通り、受賞の有無だけではなにも判断できない、とてもレベルの高いコンテストでした。
ぜひあなたも来年のJKGナイフコンテストに参加してくださいね。
作品の応募受付は来年の9月1日~10日です。あなたの作品をお待ちしています。