最高のコークスクリュー
ナイフメーカーの山本徹さんがお店に遊びに来てくれました。ひとしきりナイフ談議で盛り上がったあと、おもむろに山本さんが桐箱を取り出しました。その中身はものすごい存在感を放つワインのコルクを抜き(コークスクリュー)でした。
聞けばこのコークスクリューは2人のクリエイターのコラボレーションで生まれたもの。コークスクリューの本体を歩くNC旋盤の異名を持つUZUMAKIさんが、そしてインレイを冨岡博美さんが担当。山本徹さんを師と仰ぐUZUMAKIさんが師匠のためにと企画し、プレゼントしたものです。
見た瞬間、思わずわあっと声が出ていました。
本当に素晴らしいものなのでぜひたくさんの方に見てもらいたいと思い、僭越ながらこのブログでご紹介させていただきます。
このコークスクリューのすごさ
このコークスクリュー、メインのスクリュー部分は420J2とステンレスの台座、そしてハンドルはブラックウッドで製作されています。
このコークスクリューが市販のものと一体何が違うのかというと、全行程ヤスリを使った手作業で削られたものであるということ。この美しい螺旋は、直径9㎜のステンレスの丸棒を地道に削って成型、熱処理後にそれを地道に磨き続けた成果なのです。
ただ手作業だからすごいのではなく、よく見るとただの螺旋ではなく中心部分は宝石のカッティングのように成形されています。UZUMAKIさんのすごいところは、コークスクリューという、すでに道具として完成し、これ以上工夫できないであろうものに個性を持ち込んだところにあります。
そのUZUMAKIさんの技術に、冨岡さんのアイデアとセンスが合わさっているのがまたすごい。冨岡さんはフランスの画家セザンヌがこよなく愛し数多く描いたサント・ビクトアール山を錫を使った象嵌で表現。落ち着いた色味がハンドルにマッチしています。また、山本さんのリクエストということで描かれたハンドル下部のブドウの葉っぱ。そこに金象嵌で枯葉を表現するという心憎い演出も。
ふたりのクリエイターがお互いを高め合い、競い合って完成したアート作品といっても良いコークスクリュー。見るほどにため息が漏れ出てしまうほどすばらしいもので、まさに眼福でございました。
ちなみに、このコークスクリューの作り方は山本さんのWebサイトで随時公開されています。この記事を読みながらUZUMAKIさんがコークスクリューを作り出したのがすべての始まりでした。
製作に興味のある方はぜひ、こちらからご購入ください。
作者紹介
今回ご紹介したコークスクリューの作者は以下のお二人でした。
・UZUMAKIさん( https://twitter.com/screw_koubou)
・冨岡博美さん