定年してからだってナイフは作れる!


会社を定年してから、本格的にナイフ作りを始めるお客さんが結構います。

昔からナイフに興味があって作ってみたかったけど一歩踏み出せなかったという方や、材料や工具を揃えたはいいけど子供が生まれてそれどころじゃなくなってしまった方など、理由は人それぞれですが、趣味のナイフメーキングと、仕事と家庭とを両立していくのはなかなか難しいのがほんとのところ。働き盛り&子育て時代を経て、ようやく子供が独り立ちをし、定年を迎えて時間に余裕ができた。「さあ、何かをしよう」と思った時に、若き日に情熱を燃やしたナイフに立ち戻ってきてくれるのです。

東村山在住の関口さんもそんな一人です。
もともとナイフが大好きで、海外出張に行ってはナイフをお土産に買ったりしてその情熱をコントロールしていましたが、3年ほど前、定年を機に本格的にナイフ作りを開始。今では一年に10本くらいのペースでヤスリでのナイフメーキングを楽しんでいます。

関口さん曰く、ナイフ作りの面白いところは、時間をかけられること。
じっくりと作るものを決め、材料を選定し、失敗を繰り返しながら一つのものを作り上げていく。それをゆっくりと楽しめるのが最高なんだとか。作ったナイフは孫や甥っ子さんに渡してキャンプに持って行って使ってもらうそうです。

一番厳しいお客さんは小学生になる女の子のお孫さんなんだとか。「ナイフのサイズやデザインに対して、とびきり辛口のコメントをくれる」と嬉しそうに話しているのが印象的でした。

ナイフ作りを始めるのに遅すぎるということをはありません。
関口さんもこの3年の間に確実に腕を上げて、ご自分で「最初のころ作ったものを見ると恥ずかしい」と言っています。作るたびに自分の成長を感じられるのもナイフ作りの魅力の一つなのかもしれません。

 

 


2018 JCKM/ JKG鍛造ナイフ部会合同ナイフショー レビュー2


前回(レビュー1)の続きです。

 

高本龍雄さん

高本さんは新境地のライナーロックを製作しています。構造的にかなりタイトなロック構造を見事に仕上げていました。このナイフは本人も特にお気に入りの一本でしばらく売るつもりはないんだとか。ナイフメーカーは自分が気に入ったものは売らないという人結構多いですね(苦笑)。

 

林田英樹さん

ナイフだけでなく、彫刻、シルバーアクセサリー制作、絵画、そしてにんにく農家までこなすマルチなクリエイター、林田英樹さん。今回はお客様からのオーダーで彫刻したクレスラーのインテグラルナイフを展示していました。まるで今にも動き出しそうなほど精巧に彫られたクワガタはたくさんの来場客の足を止めていました。

 

伊原賢治さん

シンプルで軽量、スムースなアクションが売りの伊原賢治さん。これまでのシンプルなフォルムはそのままに、ポケットクリップを装着したものやブレードにDamasteelを採用したモデルをリリース。新展開がはじまっていて、これまでの伊原ファンもまた新たに物欲をそそられてしまうのではないでしょうか。

美しく妖しいダマススチールのブレード。

 

間狩純平さん

これまではインテグラルナイフのイメージが強かった間狩さんですが、前回のJKGナイフショーからフォールダーも積極的に製作しています。ニューヨークスペシャルをフリッパーにしたモデルです。ロック部分をハンドル内部に内蔵されたオリジナルの機構です。

 

桜井和幸さん

ライナーロックの名手、桜井さんのフォールダーはとても魅力的です。懇親会でお話をさせてもらった時に驚いたのは、なんとフォールダーを作るときにアウトラインを簡単に決めるだけで、細かな設計図などは全く書かないんだそうです。長年の経験がなせる業だと思いますがこういう天才肌のナイフメーカーもいるんですね。

かわいいペンギンナイフ!

 

宮前敏行さん

設計図を書かないといえばこの方も同じ。ピンの位置などは「うーん、このへん!」と勢いで決めるんだとか(笑)。まさに天才肌です。このチキリつきのロックバックはとても人気があって作っても作っても間に合わないようです。

 
 

道中俊明さん

このインテグラル、なんとハンドル部分はほぼ鑢で製作したんだそうです。手作業とは思えない精度をいとも簡単に出してしまうとは、さすがアメリカのナイフギルド所属は伊達じゃありません。ハンドルはジラフボーン。夕焼けのような温かみのある雰囲気がとても美しい気品ある一本でした。

 
 

鈴木寛さん

テーブルの中央に鎮座したこのド迫力のナイフはさすが熟練のプロメーカーのナイフといった感じ。ダイナミックな星山文隆さんの彫刻と相まって、強いオーラを放っていました。

 
 

渡辺隆之さん

お客様がデザインしたというプロ・スキナーはスタイリッシュでかっこいいデザインでした。ちなみにこのナイフに使われているラグ・マイカルタはさまざまな布をごちゃまぜにして固めたマイカルタ。おそらくすでに市場には出回っていない、いわゆるデッドストックのマイカルタです。独特な色合いの美しい素材なのです。

その3に続きます。