前回からの続きです。

工程は以下の通り。

1.ブレードのタングを削り、コンシールドタングにする

2.ブレードの錆を落として、エッチング処理

3.ヒルト製作と取付け←いまここ

4.ハンドル製材

5.ハンドル取付・加工

6.シース製作→完成!

3.ヒルト製作と取付け

ヒルトはニッケルシルバー。長穴をあけるいわゆる窓あきヒルトにしてナイフの後ろから差し込みます。長穴をあけるのはフライス盤を使って加工しました。

本当は穴をあけてしっかりカシめて固定したいところですが、コンシールドタングでずれないようにハンドルを固定すればヒルトがずれることはまずないので接着でヒルトを固定することにしました。

4.ハンドルの製材

続いてハンドルの加工をしていきます。
今回はデザート・アイアン・ウッドを支給されていて、それをコンシールドタングにして取り付けていきます。

コンシールドタングは、ハンドル内部に溝を切ってナイフのタング部分を両側から包み込む形にします。溝をタングぴったりに加工して両側からサンド。深さは両側とも鋼材の半分の深さにしてあります。ハンドルの内側をきちんと平らにしておかないと隙間が出来てしまうので、案外気を使うところが多いハンドル構成です。

5.ハンドル取付け・加工


ハンドルが出来たら、鋼材側の開いていた穴を頼りにしてハンドルに片側ずつ穴あけをして位置を合わせます。ハンドル用のエポキシ接着剤 MX-91を充填してしっかりと接着。エポキシ接着剤は硬化に時間がかかりますが、弾力があり隙間をしっかりと埋めた状態で固まってくれるのでこういうナロータング構造のナイフには最適です。

接着剤の硬化を待つこと丸1日半。
ばっちりくっついたので、ハンドルの成形に移ります。

ボルトを取り付ける前にあらかたハンドルを加工してしまいます。実質9割近く完成の寸法まで削ってしまいます。

ラブレスナイフのコークボトルを意識したハンドル形状に削っていきます。
コンシールドタングの場合、基準となるものがないので削りすぎてしまったらそこで試合終了となってしまいます。自分の書いた図面を逐一確認したり、握りを確かめたりしながら慎重に作業を進めていきます。

あらかた形が整ったら、段付きドリルを使ってボルトの取付穴をあけます。
ボルトを締めこんでパイプを通した状態がこちら。


ボルトをしっかり締めこんだ状態で、ボルトの頭がちょびっと出るくらいになるようにします。
このボルトの頭を弓鋸で切断して、最終的に面一になるように再度ハンドルを削っていきます。

Jベルトを使って研磨していくようなイメージでハンドルを削っていきます。1000番までかけた状態がこの上の写真。正直このくらいでバフかけちゃえばそれなりの仕上がりになります。ただ、じっくり仕上げてピカピカにするならばここから耐水ペーパーをつかってシコシコ手磨きで仕上げていく必要があります。

仕上がった姿がこちら。2500番までペーパーをかけて最終的にバフで仕上げました。
コンシールドタングの見せ場は個人的にはハンドルの境目が分からないような状態にすること。
完璧とはいえないもののいまの自分の実力としては最大限の出来栄えになったと思います。

6.シース製作→完成!

シースづくりは全く写真を撮っていなくて、特筆事項もないので今回は省略します。
またいつかシースづくりについても書いていきたいと思います。

とりあえずシースが出来上がり無事にミッション・コンプリート!


今回は既製品のブランクをコンシールドタング構造のナイフに改造して仕上げるという、プロジェクトをご紹介しました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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